2010/12/08 - 01:58
あかつき、最初の試練
金星探査機「あかつき」。いきなりセーフホールドモードへ…。これは探査機に何らかの異常が発生すると、探査機が自律的に移行するモードです。機体をゆっくりスピンさせることで姿勢を安定させ、最低でも太陽電池パドルに太陽光が当たる状態を維持します。緊急時の自己保護モードというわけですね。
「あかつき」は減速噴射を行うことで金星周回軌道に乗るわけですが、この直後に地球から見て金星の向こう側に入るために一時的に通信不可となります。この通信不可帯を抜けてから通信が回復するまで、想定よりもずいぶん時間がかかりました。結局、当初予定していた中利得アンテナではなく、低利得アンテナによって通信を回復。ほどなく、探査機がセーフホールドモードに入っていることが分かりました。今のところ、その原因は不明。火星探査機「のぞみ」の時といい、さすがに惑星探査は一筋縄ではないかない。
これまでの JAXA の会見の内容をまとめると、ひとまずハウスキーピングデータ(探査機を保護するシステムの稼動状態を記録したデータ)を取得して探査機の状態を把握、それに現在の軌道を特定することが目標。低利得アンテナを使用しているのでテレメトリの取得も時間がかかりますし、軌道の測定もまた同様。軌道に関しても当初の予定とは違う機動に乗っている可能性が濃厚のようです。8日の昼ごろまでに探査機の状態と軌道を決定できればと考えているようです。
セーフホールドモードによるスピンの周期は10分で1回転している状態。中利得アンテナはある程度地球を向いていないと通信ができませんので、10分の間に40秒ほどしかその状態を保てないとのこと。セーフホールドモードからの回復よりも、低利得アンテナを使ってのテレメトリ取得を優先しているようです。
ともかく、コマンドは受け付けているし、通信もできるので生きているのは確か。何とか回復して欲しいところですね。