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漫画家の佐藤秀峰先生が、「漫画家になれない人たちの言い訳」についてブロマガに投稿していました。
漫画家になれない人たちの言い訳 27個 http://ch.nicovideo.jp/shuhosato/blomaga/ar165601(一部有料)
当該の記事にある通り、以前にも同じ話題で佐藤秀峰先生が Twitter に書いて、そのまとめが作られています。
佐藤秀峰先生の「今まで見てきた漫画家になれない人たちの言い訳」 http://togetter.com/li/298110
「漫画家になるには、何はなくともたくさん描かねばならない」というのは、当を得ていると私も感じています。漫画家になりたい人が漫画家の仕事を得るには、「その仕事をやらせたいと思う人」をまず作る必要があり、たくさん描くことはその近道ですね。
しかし、佐藤先生が書いているように、多くの人にとって絵を描くのは相当な苦行です。何しろ自分がうまく絵を描けないということをこれでもかというほど思い知らされますから。しかも絵を描いている間ずっとです。
中には苦行を苦行とも思わない異常な感覚の人もいますが、そういう人がプロに多いのはよく見る話ですね。そんな人は他人よりもずっとたくさん描くことができるでしょうから、プロになるチャンスも増えようというものです。
苦行を苦行と思わないことにも通じますが、「何が何でも描きたいと思うもの」も必要ですね。それがあればモチベーションが続きやすいです。私が漫画家にならなかった理由のひとつはこの「どうしても描きたいもの」が特になかったからだろうと思ってます。でもそれ以上の原因があって、おそらくそれはこの記事の後半で述べるものです。
さて、Twitter の TL を眺めていると、今回の話にも絡みそうなことをつぶやくツイートが。
好きなことを仕事にしないほうがいいとかよく言われるけど、仕事は毎日のように携わるんだから好きなことのほうがいいに決まってる。心配しないでも本当に好きなことなら、仕事でいくら苦労しても嫌いになんかならない。
— 樹林 伸 (キバヤシ シン)さん (@agitadashi) 2013年3月20日
「好きなことを仕事にしない方がいい」は確かによく言われますよね。私も就活の時に某社の面接で言われました(笑)。この言葉は、上のツイートで述べられてるように「好きなことを仕事にして、そのことで苦労してしまうことになったら、もったいないのではないか」という文脈で使われることが多いものです。しかし、この言葉は実際にはもっと違う文脈を持つべきものではないかと、ふと考えました。
それでは、どういう文脈で使われるべきか。私の考えは「好きなことで仕事をしたいと思っていても、あなたにその仕事をやってもらいたいと思う人がいなかったら、どうしようもないよ」という文脈で語られるべきではないかということです。
先も書いたように、「漫画家をやってもらいたいと言ってくれる人」を作るためにはたくさん描くこと以上にいい方法はないわけです。たくさん描くことで技術が身につくのはもちろんですが、でき上がった作品を見せることほど有効な手段はありませんから。
さて、たくさん描くことは自分でできる(と思われる)努力でありますが、この努力という言葉もまた人を騙すことが多くて、努力以外の壁がやはり存在しています。先に書いた「あなたにその仕事をやってもらいたいと思う人がいなかったら、どうしようもない」に繋がる話です。そのことを述べているのが以下の渡邊芳之氏のツイート。
「努力」だって同じで,「努力した」というのはなにかがうまくいったことを評価する言葉で,うまくいかなければ「努力が足りない」といわれる。しかし努力はもともと「なにかがうまくいったりいかなかったりする原因」ではない。
— 渡邊芳之さん (@ynabe39) 2011年2月9日
じっさい「良い結果になった」ことの原因が「努力したこと」であるという証拠はたいていの場合は存在しない。努力とは運の別名である。
— 渡邊芳之さん (@ynabe39) 2012年6月26日
努力してもダメなことはダメだし,人生は計画通りになどいかないし,でもダメで計画通り行かないことでかえって幸せになることも多いんだよ,ということは子どもに教えると勉強しなくなっちゃうので18歳になってから教える。
— 渡邊芳之さん (@ynabe39) 2011年11月22日
要するに、「たくさん描こうが、漫画家になれない時はなれない」。…まぁ、これも納得行く話です。でも描いてみないと結果は分からない。無情。
当ブログ内参考記事:創作のために必要なもの(精神的な意味で) http://www.dreaming-wings.jp/DWblog.php?itemid=460