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28 July 2012のアーカイブ

2012/07/28 - 00:24
【ネタバレ含む】映画『おおかみこどもの雨と雪』 その2

前回に続いて映画『おおかみこどもの雨と雪』感想。今回は Twitter 等で見つけた感想を交えながら。

前回の感想では書きませんでしたが、本作は全体を通して努めて冷静な描写で作られていて、それほど強いカタルシスをもたらすシーンはあまりありません。『サマーウォーズ』のような緩急豊かな展開を期待していると肩透かしを食うかも知れません。「ゆるやかな暖かさをゆっくり味わう」のが楽しめる人でないと低評価になるのではないかと見ています。

さて、今回も一応ネタバレ含みなのでご容赦を願います。

まずはこちらのツイートから。

真相は本人の心のみぞ知るですが、あえて想像すると花の母親っぷりがあまりに神すぎたんでしょうか。「自分の妻はあそこまでできた人間じゃない」と(笑)。あるいは「もしかすると自分の知らないところで妻にも苦労させていたのではないか」という逡巡がションボリの正体なのでしょうか。それとも、劇中で父親が不在にもかかわらず積極的に子育てに励む花の姿を見て、「もし自分がいなくなっても家族はあのように頑張ってくれるだろうか?」という不安を無意識に抱いたんでしょうか。色々想像が尽きませんね。

劇中は確かに父親不在で子育てが進みましたが、登場人物の中には「父性」を担う立場のキャラクターがいました。花に農業を教える韮崎さんがその人なのですが、あれはまさに父性の塊。本作を観た人はほぼ同様の感想を持つのではないかと思います。

いつも笑みを絶やさない花に対して韮崎さんは事あるごとに「笑うな」といいます。これは、人から思われている以上に感情的であるにもかかわらずその感情を隠そうとするという、男性的な性格をよく描写してますね。それこそ典型的な照れ隠しかも知れません。

最後にこの記事を紹介しておきます。

超映画批評「おおかみこどもの雨と雪」40点(100点満点中)
http://movie.maeda-y.com/movie/01698.htm

この記事はすごい。あちこちに「オタク的なものに対する悪意」がにじみ出ています。「おおかみこどもが目をウルウルさせて猫耳を出したり、そういったところがとにかく気持ち悪いというのである」とか。狼だから「猫耳」じゃないだろう。というツッコミはさておいて…。

そういえば、『サマーウォーズ』でも獣耳キャラがいましたが、獣耳をスタジオ地図作品のお約束にしてしまうのもいいかも知れませんね(笑)。

件の記事では「作家のタッチと、やりたいテーマがかみあっていない」と評価していますが、「人狼」というファンタジー性を取り除いてしまうと実写でやっても通用しそうなテーマであることは確かです。オタク的なものに対する悪意のある人が見ると、このファンタジー性が目について仕方ないのかも知れませんね。

「音楽が流れっ放しの恋愛パートもわざとらしい」という件ですが、物語の主軸は決して恋愛ではないので、あれでいいのではと思います。恋愛を手放しに肯定しておけば、その後の展開が活きるのではないでしょうか。それにしても、「恋愛をやたらと美化、純化したがるのはオタクな人たちの特徴」といいますが、恋愛観の持ち方でオタク性が診断されてはたまりません。オタクというのは「自分の好きなものがあり、それに関連している他のものについては興味が持てないと見向かない」人間のことですよ。

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